進むために。
欲しいものを欲しいと言うときに、その大小はともかく、必ず何かしらの犠牲を払わねばならぬというあたりまえのことから、
私はずっと逃げて、卑怯なことばかりしていた。
でも、今回ばかりは真正面から行かなきゃいけないんだ。
そうじゃなきゃ、前に進めない。
足枷は、ただ嫌われたくないという自己中心的偽善だ。
そんなものは切ってしまわないと、いつまでもどこにも行けない。
「私のこれからに必要なのは、もうあなたじゃないんです。」
自分が言われたら耐えられないことを、何度も人に告げてきて、自分が思うように生きていくためには、人の気持ちを平気で踏み潰した。
ごめんなさい。ごめんなさい。
信じないかもしれないけど、みんな本当に好きだったよ。
いまでも誰のことも忘れてないから、優しくしてくれたこと、それを好きだなあと思ったこと、いろんなことを思い出すたびに泣くから、だから今、私が欲しいものを欲しいと言うことを、どうか赦してください。
それでも私はこんな自分が嫌いじゃないんです。
「人がどう見ようとあたしはあたしを不実だとは思わない。
理屈でも理性でもなく、心は正直なのだと思うから。」 ―五月野舞子―
庄司陽子『生徒諸君!』より